Ruby Prize実行委員会は、最終ノミネートの対象者3名を下記の通り選出しました。
なお、この3名のうち「Ruby Prize
2018」を受賞する1名については、RubyWorld Conference
2018のなかで実施する表彰式の場で発表します。
final nominees 2018
Rubyの抽象構文木実装の改善とそのAPI公開が最近の顕著な業績ですが、最近参加されたRubyコミッターの中でも金子さんは文法や基本機能などRubyの根本を強化するような難しい提案に積極的にチャレンジしておられます。そのような提案は制約が多く、なかなか成功しませんが、金子さんは着実に成果をあげておられます。
以前からRubyのテンプレートエンジンなどのパフォーマンス改善の成果が顕著でしたが、最近はRubyのJITコンパイラであるMJITの改善に取り組んでおられます。実験的レベルだったMJITを使えるところまで持っていったその努力は並々ならぬものと思います。
日本語圏のRubyコミュニティ情報をカバーするWebマガジンである「Rubyist Magazine(るびま)」の編集を引き継ぎ、継続しておられます。また、三好さんによる数多くの技術イベントでの情報発信も見落とせません。mruby関連などの技術力と情報発信力の双方を兼ね備えておられます。
nominees 2018
RuboCopのコミッターとしてRuboCopのバグ修正や機能追加を精力的に行われているだけでなく、Railsやcucumber、oracle-enhanced等の複数のOSSで幅広く活躍している。
実質的なメンテナンスの停滞していた RDoc を大幅に改修し 2 倍の高速化を行い、stdlib の readline を pure Ruby で書き直し事前のライブラリインストールを不要とする作業を進めている。
Rubyリファレンスマニュアルの「コピペ可能なサンプルコードを整備する」という活動を積極的に続けている。
Rubyの抽象構文木の実装改良を行い、Ruby VM::ASTモジュールの公開まで至っている。
積極的に Ruby インタプリタの高速化の開発を継続し、JIT 対応をリポジトリにマージできるレベルまで改善している。
Haconiwaの開発など、Rubyがこれまであまり利用されていなかった分野での開発・活用実績が顕著である。
AWSのElastiCacheや、Railsのセッションストア、キャッシュストアなどでRedisのClusterモードをRubyから使えるようにした。
クライアントサイドフレームワークOvtoの開発をした。
Nokogiriに貢献した。
型システムSteepの開発やRubyエコシステムで活躍する開発者との対談記事公開による知識の共有など、幅広い点でRubyコミュニティに貢献している。
Rubyist Magazine(るびま)を支え、さらに最近るびまウェブサイトの更新を行っている。
3年以上、Ruby on Railsを保守し続け、Railsのコミットログを、多くの開発者にわかりやすく解説するブログを続けている。