RubyPrize2018 最終ノミネート者 三好秀徳/Hidenori Miyoshi Interview

まつもとひろゆき、三好秀徳

個人的には、「るびま」をもっとよくしたいと思っています。


まつもとひろゆき
まつもと
どうも、おめでとうございます。
三好秀徳
三好
ありがとうございます。
まつもとひろゆき
まつもと
「Rubyコミュニティの新人賞」としてのRubyアワードですが、余り新人って感じじゃないですよね。(笑)
三好秀徳
三好
そうですね。
「るびま」の主なメンテナンスを始めてもう5年なので。
まつもとひろゆき
まつもと
なんですが、顕著な功績があるということで、最終ノミネートということだったんですけども、みよひでさんとのつき合い、大分長い気がするんですけども。
三好秀徳
三好
そうですね。
まつもとひろゆき
まつもと
でもまあ、多分のこの記事を読まれる方は御存じないと思うので、じゃあ、バックグラウンドから。どんな感じで、この業界に触れられたのはどんな経緯で?
三好秀徳
三好
高校生のころに「闘うプログラマー」っていう本を読んで。
まつもとひろゆき
まつもと
カトラーさん。
三好秀徳
三好
カトラーさんに憧れちゃったんですね。格好いいと思ったんです。また、コンピューターとか業界にもちょっと興味があったので。いわゆる、システムエンジニアっていう言葉だけは知ってたので、そういうものをやってみようかなっていうようなところですね。
まつもとひろゆき
まつもと
高校生のときに。
三好秀徳
三好
高校生ぐらいのときに。
まつもとひろゆき、三好秀徳
まつもとひろゆき
まつもと
へえ。それから一筋ですか。
三好秀徳
三好
大学は数学を専攻していたので、いわゆるコンピューターサイエンスとは全く別なんですけれども、コンピューター系のことは趣味で細々とやっていました。
まつもとひろゆき
まつもと
数学。
三好秀徳
三好
数学ですね。
まつもとひろゆき
まつもと
私、数学、大の苦手なので。すごい尊敬しちゃうんですけど、数学科とか言われると何かこう、雲の上のような感じがしてですね。
三好秀徳
三好
いやもう最近完全に忘れてますけど。
まつもとひろゆき
まつもと
じゃあ、卒業されてそのまま。
三好秀徳
三好
そうですね、今の会社に入って。
まつもとひろゆき
まつもと
Rubyとの出会いっていうのはどこにあるんですか?
三好秀徳
三好
Rubyとの出会いは、大学院のときに、微分・積分を使った応用数学みたいなことをやってたんですけれども、日経ソフトウエアでRubyの特集があって、それを読んで使ってみようと思って、使い始めたのがきっかけですね。そのとき、自分が書いていたのはCで、数値計算のプログラム書いていて、検算用のプログラムをRubyで書いてたりしました。
まつもとひろゆき
まつもと
今、三好さんお仕事でRuby使う機会ってあるんですか?
三好秀徳
三好
仕事では今、社内向けにCI、CD環境っていうのをサービスとして提供していて、そこのバックエンドの管理ツールですとか、あとはパブリッククラウドを使ってそのサービスを提供してるんですが、そこの環境を設定ファイルに書き込めば、自動的にパブリッククラウド上で設定変更できるようなツールっていうのをRubyで書いたりとか、大きなものから細々とした普段の便利ツールまで全部Rubyで書いています。
まつもとひろゆき
まつもと
おお、すごい。私より書いてる。 今回のみよひでさんの貢献は、「るびま」が一番顕著な功績だといってるんですけども、「るびま」とのかかわりはそもそもどんな感じで?
三好秀徳
三好
郡司さん(https://twitter.com/gunjisatoshi)に誘っていただいて、ちょうどそのときに「RubyWorld Conference2013」があって、
参加レポートをあげた( https://magazine.rubyist.net/articles/0045/0045-RubyWorld_Conference_2013_report.html)のが、るびまにかかわるようになったスタートですね。
まつもとひろゆき
まつもと
そのときは、ライターっていうか記事を書く人として参加した感じですかね?
三好秀徳
三好
記事を書いたり、あとは編集、こういうふうにして記事を取りまとめて、フォローして、最終的にリリースするんですよ、っていうようなところを、一通り試したっていうようなところが最初のきっかけです。
まつもとひろゆき
まつもと
今でも例えばバックエンドの置きかえたりとかしているんですか?
三好秀徳
三好
バックエンドの置き換えは今年しました。
https://magazine.rubyist.net/articles/0058/0058-MigrateRubima.html
まつもとひろゆき
まつもと
今年ですね。今までの古いやつも変換したりとか。
三好秀徳
三好
そうですね。600件ぐらいの記事を。
三好秀徳
まつもとひろゆき
まつもと
それもあるし、締め切りが厳密じゃない仕事って結構つらいですよね。つらいっていうか、後回しになりませんか。
三好秀徳
三好
個人的な性分としては、一度決めた締め切りっていうのはよっぽどのことがない限り、延ばさないっていう。
まつもとひろゆき
まつもと
すばらしい。尊敬します。
三好秀徳
三好
それを皆様にも、これが締め切りですよっていうふうに、まずは提示しているので、そこに対して、じゃあ間に合わなかったら次ねっていうふうな感じで。
まつもとひろゆき
まつもと
いや、私は厳密な締め切りがない仕事はどうも優先順位が下がって、書きおろしの本とか全然進まないんですよ。
三好秀徳
三好
私にとっては、かなり余裕を持ってるスケジュールなので。
まつもとひろゆき
まつもと
すばらしい、すばらしい、ありがとうございます。
みよひでさんのリーダーシップが、「るびま」の発行につながっている。だって、「るびま」って、すごい出なかったこととか前にあるじゃないですか。最近は安定してるけど。
三好秀徳
三好
最近もちょっと全然出せてないっていうのが、正直私の思いでして。
まつもとひろゆき
まつもと
だけど、昔、年単位で出なかったことあったような気が。
三好秀徳
三好
それは実際には記事が集まんなかったところもあったりするので。今のモチベーションとしては、記事を集めるっていうことに重視していて、いわゆる読者さんがどういうところに対して興味を持っているかとか、Web上に載らないTwitterとかそういうあまり聞こえてこない実際の読者の声とか、そういうようなところを集めて、記事として書いていただけませんか、というふうにして依頼をかける。今日みたいなカンファレンスに関しても、「こういうお話を是非ともるびまに書いていただけませんか」っていうようなところの交渉を細々と続けて、一つの号にするっていう形をとっています。
まつもとひろゆき
まつもと
でもね、仕事でもないし給料も出ないのにやっていただいて、本当にありがたい限りだと思うんですけど。
三好秀徳
三好
でも、僕はそれを非常に楽しいと思って。
まつもとひろゆき
まつもと
ああ、よかった、これが苦痛で苦痛でとか言われたらどうしようと思って。
三好秀徳
三好
苦痛なときもたまにありますよ。記事が全然集まんなくてどうしようって思ったりとか。
まつもとひろゆき、三好秀徳
まつもとひろゆき
まつもと
なるほどね。
まあでも本当に苦労も楽しいのも含めてありがとうございます。
三好秀徳
三好
いいえ、ありがとうございます。
まつもとひろゆき
まつもと
今回、多分「るびま」の件が一番の理由だと思うんですけども、みよひでさんって他にもいろいろあるんじゃないですか。例えば、走る人だとか。あと、走ったのをGPSでロギングしたりとか、mrubyのこと発表してもらったりとか。
三好秀徳
三好
去年、一昨年ぐらいですね。
まつもとひろゆき
まつもと
その辺についてもちょっと聞かせてもらってもいいですか?
三好秀徳
三好
会社の活動とはまた別に、OSS推進フォーラム(http://ossforum.jp/)という場で、同じような業界、企業が集まって、情報交換会みたいなものを月1でやってるんですけれども、そこでmrubyの話がテーマに上がったので、試しに自分もやってみようと。いわゆる組み込み系っていうのは初めてですし、どんな感じかやってみようっていうのが、最初のきっかけです。
まつもとひろゆき
まつもと
どうでしたか?
三好秀徳
三好
Rubyとは全然違う世界が見えたっていうのは一つですけれども、もともとC言語をちょっとだけかじったこともあったので、mruby Gemsをつくるのも、簡単で、センサーを扱うmruby Gemsをつくるっていうのも簡単でしたし、一つの機器のターゲットに対して動かすのも簡単だったです。けれども、それを複数の環境で動かすためには、互換性をかなり意識しないといけないとか、全然想定してなかった前提条件、mrubyだとここのパラメーターをいじったときにうまく動かなくなるよ、っていう話もあったんで、そういうところでの難しさを感じながら、CRubyでウェブアプリケーションを書くとか、簡単なツールを書く以上の面白さと難しさがあわせ持ったところで、自分にとっては、挑戦し甲斐のあるちょうどいい題材だったというふうに感じてます。
まつもとひろゆき、三好秀徳
まつもとひろゆき
まつもと
ありがとうございます。 今後の抱負みたいなものありますか。
三好秀徳
三好
個人的には、「るびま」をもっとよくしたいと思っています。今ですと、YAMLの文法の記事が人気ランキングの上位に来ていて、他の最新の記事は、その場では盛り上がるんだけれども、なかなか続かないっていうところがあって。
まつもとひろゆき
まつもと
新定番みたいな。
三好秀徳
三好
新定番っていうのを自分が書けるものでしたら書いてみたいですし、リクルーティングで書いてほしいとかっていうのもあったりします。あとは、最近ちょっとお休みしてるんですけれども、Rails Girlsのコーチとかもやっていて、東京だと江森さんが今、「Rails Girls Tokyo More!」ていうのを月1ぐらいやっていて、参加された方々に「次はこういうことをやってみたい」っていう各自のテーマに対して、コーチが「じゃあこうしてみようか」、「こういうふうなことができますよ」とかっていうのに、道しるべを示しています。そうすることによって、自分も結構分かってないなっていうところもありますし、どうやってうまく伝えることができるかっていうところに対しても、非常に勉強になるので、そういうところも続けていきたいなっていうふうに思っています。
まつもとひろゆき
まつもと
コーチ業ですね。
三好秀徳
三好
ですね。
あとは、何でしょうね、世界で知られるgemか、何かそういうものをつくりたいなっていうのはあるんですけど。
まつもとひろゆき
まつもと
いいですね。
三好秀徳
三好
あまり私0から1をつくり出すっていうのはなかなかアイデアもないので。
まつもとひろゆき
まつもと
いや、松田さんみたいに「既存のやつは気に入らないから俺が」っていうのは結構。
三好秀徳
三好
とりあえず動いてるんだけれども、何か問題が抱えてるものに対して、1つずつ自分のできる範囲で解決していきたいっていうのは、今差し当たっての目標です。
まつもとひろゆき
まつもと
いや、でもこれからもさまざまな活動が期待できそうなんで、楽しみにしてます。
三好秀徳
三好
ありがとうございます。
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